心皮とは - 花の名前を調べる
モモの単心皮

心皮 (しんぴ)

carpel

単心皮、合生心皮、離生心皮

心皮とは元々葉にむき出しで付いていた生殖細胞を包んで保護するように進化した葉で、 1枚または複数枚が合わさってめしべとなっている。

1枚の心皮が1本のめしべとなるものを単心皮(図1)、 複数枚の心皮が合着して1本のめしべとなるものを合生心皮と言う(図3)

また1本の心皮が合着せず複数つくものを離生心皮と言う(図5)(図7)。 この場合心皮とめしべの数は同じになる。

図1 モモの単心皮の様子 (桃) 1心皮で1本の雌しべとなるもの (撮影日:2022年4月21日)

図1 モモの単心皮

1024x768

1心皮、めしべ1本

モモは1枚の心皮が1本のめしべとなり、花に1本だけつく。 心皮は1枚の葉のフチを1か所で縫い留めた構造で、その基部は子房、先端は柱頭になる。 子房や柱頭などのめしべや後の果実にはこの合着したつなぎ目 (縫合線)がある(図2)

図2 モモの熟した果実の縫合線の様子 (桃 (撮影日:2021年9月4日)

図2 単心皮の果実の縫合線

1024x768

1心皮、めしべ1本

モモの果実には1本のつなぎ目がある。モモの果実は裂開しない。

図3 ヒオウギの合生心皮の雌しべの様子(撮影日:2023年7月21日)

図3 ヒオウギの合生心皮

1024x768

3心皮、めしべ1本

ヒオウギは3枚の心皮が合着して1本の雌しべとなっている。 このように複数ある心皮が合着しているものを合生心皮という。

図4 ヒオウギの合生心皮の果実の縫合線の様子 (檜扇)

図4 合生心皮の果実の縫合線

800x600

3心皮、めしべ1本

ヒオウギの果実には合着した3本のつなぎ目があり、この部分が括れて果実は3稜となる。 つなぎ目の反対側には太い葉脈が通り、ヒオウギの果実は熟すとこの葉脈から裂ける。

図5 ミツバアケビの離生心皮の様子 (三葉木通)

図5 ミツバアケビの離生心皮

800x600

5心皮めしべ5本(上)、3心皮めしべ3本(下)

ミツバアケビは1枚の心皮が1本のめしべとなり、1つの花に3~9本ほどつく。 心皮は合着せずそれぞれが果実となる(図6)。 このように複数ある心皮が離生しているものを離生心皮という。

図6 縫合線から裂けるミツバアケビの果実 (三葉木通)

図6 離生心皮の果実

800x600

3心皮、めしべ3本

ミツバアケビの果実には1本のつなぎ目があり、熟すとここから裂ける。

図7 センニンソウの心皮 離性した雌しべが5本つくもの 雌しべと子房の様子(撮影日:2023年9月21日)

図7 センニンソウの離生心皮

1024x768

5心皮、めしべ5本

センニンソウは1枚の心皮が1本のめしべとなり、1つの花に5~10本ほどつく。 センニンソウの心皮は合着せず離生している。