Padus grayana
(Prunus grayana)
パドゥス・グレイアナ (プルヌス・グレイアナ)
古名:ハハカ(波波迦)
冬季落葉性の高木。中国や日本の山地の
日当たりが良く湿り気のある場所で見られる。
古名はハハカで、古事記に見られる波波迦はウワミズザクラではないかと言われている。
卜占の一つ、古代では鹿の肩甲骨に溝を彫り熱し、または現代まで亀の甲を熱して、生じたひび割れで吉凶を占う太占や亀卜の際には
ハハカに火をつけ炙ったとされる。
上溝の由来には諸説あるが、木に溝を彫ったとしてウワミゾが訛った説や
鹿の肩甲骨の裏に溝を彫り占ったとして裏溝や占溝が訛った説がある。
以前はサクラ属に分類されたが現在はウワミズザクラ属に分類される。
2021/04/15 …(1-1) (春・日なた・地植え)
樹高は高く15mほどにもなり花も高い位置に咲く。
花は総状花序。花軸に柄のある小花が並んでつき
花序は円柱形になる。長い雄しべと雌しべが突き出るため
開花時にはブラシのように見える。花は下から上へ咲く。
葉は卵形~長楕円形。フチには細かい鋸歯があり互生する。
秋には赤く鮮やかに紅葉する。
2021/04/15 …(1-2) (春・日なた・地植え)
花が散った後の花序の様子
花は花弁が5枚に、その倍の長さの雄しべ複数本と
雌しべが1本つく。
できる果実は小さな卵形の核果で全体ではブドウのような姿をしている。夏から秋に赤色から黒へ熟す。
2021/04/15 …(1-3) (春・日なた・地植え)
つぼみや樹皮や種子には杏仁に似た香りが含まれており、
花のつぼみや若い果実を塩漬けにしたものは杏仁香(あんにんご)と呼ばれ親しまれる。
また熟した果実は生食や果実酒にした杏仁香酒にも利用される。